整形外科

頸椎疾患に対する当院の治療法 頸椎疾患に対する当院の治療法

対象疾患

頸部椎間板症、頸部椎間板ヘルニア、頸部変形性脊椎症、頸部脊柱管狭窄症、頸椎後縦靭帯骨化症など

椎間板の変性等が原因で支持性が低下すると頚背部痛、僧帽部痛、肩こりを生じ、椎間板ヘルニア、骨棘等により神経に刺激が加わると上肢の疼痛、しびれ、手指巧緻運動障害(書字、箸がうまく使えないなど)が出現します。更に進行すると上肢の神経麻痺、筋力低下、下肢のシビレ、脱力感、筋緊張感が生じ歩行が困難となります。

X線写真、MRIにて神経への圧迫の部位、程度、脊椎の支持性低下の有無等を確認し、治療方針を立てていきます。

治療

まず保存治療を行い、投薬、頸椎装具装用、リハビリ訓練、ブロック治療等にて症状の改善に努めます。改善がみられない一部の症例に対しては手術治療を検討します。

椎弓形成術、椎弓切除術

頸部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症などで上肢痛、しびれ、上肢の運動障害、歩行障害等を生じている症例は、その大半が脊髄神経や神経根の圧迫が原因です。頸部後方より侵入し椎弓の一部を切除、これを開くことにより、脊髄神経を後方に開放する手術が適応となります。同時に人工骨などを使って支持性を補強します。術後は3-4週頸椎装具を装用します。

脊椎固定術

著明な頸部痛を認める症例や、前方から神経が圧迫されて上肢痛、シビレ、神経麻痺が出現している症例では、前方からの除圧が必要となります。頸部脊椎症、頸部椎間板ヘルニアなどでみられます。頸部前方を切開し、椎体の一部及び椎間板を前方から切除し、更に脊髄を圧迫している骨棘、椎間板ヘルニアを切除します。脊椎支持性を獲得するために腸骨(骨盤)から骨を採取して、頸椎前方の骨切除部に移植し、金属製のプレートで固定します。この治療法では確実に圧迫している部位を摘出することを目的としております。

術後は骨癒合が得られるまで2-3か月頸椎カラーを装用します。

症例によっては後方から脊椎を固定する方法もあります。この場合はインストルメント(スクリュー、ロッド等を用いた金属製の内固定具)を使って固定し、骨移植を行います。

腰椎疾患に対する当院の治療法 腰椎疾患に対する当院の治療法

対象疾患

腰痛症、腰部椎間板ヘルニア、腰部変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎すべり症、脊柱側弯症、脊椎圧迫骨折、骨粗鬆症など

腰椎疾患は多様ですが、一般的には脊椎の支持性が低下すると腰痛が出現し、神経への圧迫により臀部痛、下肢痛、しびれ、間欠性跛行(長く歩くと下肢に痛み、しびれを生じ、屈むと消失する症状)等が発症します。進行すると下肢筋力低下、稀に排尿障害が生じます。

X線写真、MRIにて支持性の低下、神経への圧迫、いずれが症状の主因であるかを確認した上で治療方針を立てていきます。

治療

まずは保存的治療を行い、投薬、コルセット装用、ブロック治療等にて症状の改善に努めます。改善がみられない一部の症例に対しては手術治療を検討します。

脊椎除圧術(椎弓切除術)

腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアにより下肢痛、間欠性跛行等を生じている症例は除圧術の適応です。後方より肥厚し突出した骨や靭帯などを切除し、更に椎間板ヘルニアを取り除くことで神経周囲の除圧を行います。圧迫されている椎間の数にもよりますが、手術は1-2時間で終了します。

術前に神経根ブロックを行うことで責任病巣を明らかにし、疼痛の原因となっている部位のみを選択的に除圧し、後方支持組織(筋肉など)や骨を極力温存する方法を用いて手術を行っております。著明な腰痛がなく、椎間に不安定な動きがない場合や、高齢の方が適応となります。

脊椎固定術

著明な腰痛を伴う脊柱管狭窄症や、腰椎すべり症、変性側弯症など椎間不安定性を認める症例などが適応となります。このような病態では、除圧術単独では術後に更に不安定性をきたし腰痛が起こりやすいため、固定術を追加する必要があります。特に活動度が高い患者さんが適応となります。

脊柱管の除圧を行った上で、スクリュー、ロッドからなるインストルメント(金属製の内固定具)を用いて、正常に近い脊椎の形へと整復固定を行います。更に人工骨、自家骨を移植し固定性を高めます。また術後はコルセットを用いて外固定を行い確実な骨癒合の獲得に努めています。

腰椎椎間板ヘルニアの低侵襲治療 腰椎椎間板ヘルニアの低侵襲治療

腰椎椎間板ヘルニアは腰痛や坐骨神経痛をきたし、代表的な腰椎変性疾患です。近年の画像技術の発達により自然経過や病態が明らかとなってきたものの、安静やブロックなどの保存療法のみでは軽快しない症例も数多く存在します。当院では腰椎椎間板ヘルニアに対する低侵襲治療を行っております。

ヘルニコア治療

当院では腰椎椎間板ヘルニアに対して椎間板に薬剤を注射することによりヘルニアを小さくする治療を行っております。薬剤はヘルニコア(一般名:コンドリアーゼ)として2018年5月22日に薬価基準収載され8月に科研製薬株式会社から発売となった最新の薬剤です。当院でも2018年8月にいち早く臨床使用を開始しております。レントゲンを見ながら椎間板に注射し、薬剤を1.2ml投与します。非常に低侵襲で、有効な治療法であり今後のさらなる普及が望まれます。

内視鏡下腰椎椎間板摘出術

保存的な治療やヘルニコア治療では軽快しない腰椎椎間板ヘルニアに対して内視鏡下腰椎椎間板摘出術(MicroEndoscopic Discectomy: MED)を施行しております。 本術式は約2cmの皮膚切開で内視鏡を用いて突出した椎間板を摘出します。その特徴は

1) 椎間板、神経等の目標となる組織に近接した視野が得られること

2) 筋肉の剥離を最小限にとどめ術後の疼痛を少なくすることが可能なこと

3) 手術後の社会復帰が早いこと

です。術後翌日より歩行を開始し、術後数日での退院が可能です。

細い針で椎間板に薬剤を注入します

  • ヘルニコア施行前

  • ヘルニコア施行後 ヘルニア縮小

内視鏡下腰椎椎間板摘出術

低侵襲脊椎安定術(MISt) 低侵襲脊椎安定術(MISt)

Minimally Invasive Spine Stabilization (MISt)とは低侵襲に脊椎固定し安定化する手技です。当院でもMISt手技を積極的に導入し低侵襲脊椎手術を行っております。

脊椎圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術(Balloon Kyphoplasty: BKP)

適応疾患:胸腰椎圧迫骨折、転移性脊椎腫瘍

 

高齢による骨粗鬆症や転倒などによる外傷や、腫瘍(各種癌の脊椎転移、骨髄腫など)によって背骨が圧潰した状態による痛みを改善させる経皮的椎体形成術が、2011年1月から保険適応となりました。この治療法は、圧潰した脊椎内に小切開にて針を挿入し、風船をふくらませることによって、圧潰した椎体や背中側に凸に変形している状態(後弯)を生理的な形態に復元してから、骨セメントを注入し固定をおこないます。傷がとても小さく(5~10㎜),出血も少量です。

低侵襲経椎間孔的椎体間固定術(MIS-TLIF)

適応疾患:腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症、腰椎変性側弯症、腰椎椎間板ヘルニアなど

 

脊椎が不安定な症例など脊椎固定術が必要な症例に対して、約4cmの皮膚切開から神経除圧と椎間板切除、人工骨の充填を行います。その後、約2cmの皮膚切開を4カ所ほど加えて、レントゲンを見ながらスクリューを設置し、変形を治して固定します。この手術の利点は傷が小さいことにより、出血量低減、感染率の低下、術後疼痛の軽減、早期離床、早期退院、早期社会復帰を可能とすることです。

低侵襲脊椎側方固定術 (XLIF)

適応疾患:腰椎変性すべり症、側弯症、後弯症など

 

日本では2013年から承認され実施され技術認定を受けた医師と施設基準を満たした医療機関でのみ実施されています。この手技の特徴は脊髄という太い神経を避けて後ろからではなく横から神経の圧迫を解除できる事にあります。側腹部に約4cmの皮膚切開を加え、椎間板切除の後、後方からでは入れられないより大きな人工骨を充填します。安定性がよく、多椎間に適応しやすいという利点があります。 側方からの手術の後、後方から2cm程度の皮膚切開を1椎間につき4か所加えてスクリューを設置し変形を治して固定します。

経皮的椎体形成術(Balloon Kyphoplasty: BKP)

経皮的スクリューの設置により変形が治る様子

  • 低侵襲脊椎側方固定術(XLIF) 大きな人工骨が入るため安定性が高く変形が治りやすい

超音波エコーによる上肢外科診療 超音波エコーによる上肢外科診療

上肢外科領域では軟部組織に多くの病変がありますが,これらはレントゲンでの診断が困難です.近年はMRIの解像度が向上し,手外科領域の小さな病変を正確に診断できるようになっています.しかし一般に外来診察からMRI検査までには数日~数週間を要し,その間に病態が変化してしまえば治療計画そのものを再考せざるを得なくなります.当科では,外来診察室に超音波エコーを常備し,診察時にエコー検査を行って病態をその場で確認し,速やかにその後の治療方針を立てるようにしています.

手根管症候群に対する低侵襲治療として,当科では内視鏡下に正中神経を覆う屈筋支帯を切離して手根管を開放する手術を行っています.一般に内視鏡治療では,重要な神経,血管を確実に避けて目的とする病変を治療することが求められます.当科では,手術の直前に超音波エコーでこれら重要組織を同定し,これを確実に避けられる位置に内視鏡を留置し,安全,確実な手術を心がけています.

上肢手術の多くは,麻酔を頸部や腋窩部の腕神経叢周囲に行います.当科では超音波エコーで大事な動脈を避けて目的とする神経を確実に描出し麻酔を行っています.麻酔効果が不十分な場合は超音波エコーをガイドとして,麻酔の効いていない神経のみをブロックします.麻酔自体も長時間作用するため,術後の痛みは少なく,全身麻酔に比べて圧倒的に低侵襲であるといえます.

肩関節疾患では,肩の痛みや動きの制限が主症状であるものを多く認めます.外来ではまずヒアルロン酸やステロイドを病変部へ注入することが一般的ですが,必ずしも目的とするところへ注入されず,症状の改善が得られないことを多く見受けます.当科では,まず超音波エコーで病変を同定し,その位置へ針を進めてヒアルロン酸やステロイドを注入しています.3カ月以上継続する重度の肩関節拘縮では,超音波エコーガイド下に頸部で腕神経叢をブロックし,その後徒手的に肩関節を動かし拘縮や疼痛の改善を図る治療を行っています.

超音波エコーは上肢外科領域の診断,治療,リスクマネージメント,麻酔に効果を発揮する優れたツールで,今後もこれを有効活用し安全,確実な診療を心がけていきます.

外来での超音波エコー検査の実際

股関節疾患について 股関節疾患について

股関節は骨盤と下肢をつなぐ関節で体重をしっかり支えます。年齢とともに関節のクッションである軟骨がすり減って変形性股関節症と呼ばれる状態になり、痛みや歩行の障害を起こすことがあります。いわゆる加齢による関節の老化現象です。変形性股関節症は日本では従来、先天性股関節脱臼の治療後に発生する例が多いとされていましたが、高齢化社会の到来で様々な股関節症が発生するようになりました。

痛みや歩行障害の強い変形性股関節症に対して行われる人工股関節手術は手術後結果が非常に良いスタンダードな手術として知られています。日本では毎年増え続け現在は年間6万件程度行われています。変形性股関節症にもいろいろなタイプが有り、先天性股関節脱臼後で変形や関節の動きの制限が著しいものから、変形は軽度で痛みが強いものまで様々です。当院では患者さんの状態により最も適している人工股関節の種類や手術侵入路を選んで手術を行っています。先天性股関節脱臼後の例で変形が強い例には後方侵入で慶應大学と京セラで共同開発した人工股関節(KKS)を使用することが多く、人工股関節を正確に設置するためにコンピューター・ナビゲーション手術(図)も取り入れています。変形がさほど強くなく、手術前の関節可動範囲が悪くない例には前方侵入により最新式の人工股関節を使った手術を行っています。この際は回復も更に速く、手術後の肢位の制限も行っていません。ともに人工股関節手術後のリハビリは早期から始まり、術翌日には車いす、術後2日には歩行練習を開始して、術後2週程度で杖でしっかり自力の歩行が安定してから退院になるスケジュールです。

麻酔技術、痛みに対する対策もどんどん進歩しており、手術後に著しく体力が低下することも少なくなり早期に回復いたします。基本的に大きな合併症もなく、お元気であれば手術の年齢制限はありません。ぜひ股関節が原因で歩行困難になっている患者さんは、股関節専門医にご相談ください。

コンピューターナビゲーション人工股関節手術

膝関節疾患について 膝関節疾患について

変形性膝関節症について

変形性膝関節症は、国内に約2400万人、その中で痛みを伴う人は約1000万人と推定されています。治療の基本は運動療法を代表とする非薬物療法と薬物療法を組み合わせた保存的治療です(保存的治療は開業の先生と協力して行います)。関節の痛みや動きが悪くなることによって日常生活に支障があり、それらが保存的治療で十分に改善しない場合、人工膝関節置換術(写真)の適応となります。人工膝関節置換術とは、自分の膝の代わりに人工の金属の関節を入れる手術です。また変形が軽度で内側に限定している場合、半分の人工膝関節(人工関節単顆置換術)や骨切り術を行います。両側の膝痛の人には両側同時に行うこともあります。

人工膝関節置換術について

手術

手術時間は、片膝で1時間半程度です(麻酔の時間でさらに1時間程度かかります)。短時間で手術を行い、感染や血栓症などの合併症へのリスクを減らよう努めています。また、できるだけ小さい皮膚切開で手術を行い、関節や筋肉への負担を少なくする方法(低侵襲手術)をもちいて、術後の回復が早くなるようにしています。

 

リハビリテーション

術前に膝の状態を評価し、術後は翌日から理学療法士のもとリハビリテーションを行っています。入院期間は約3週間ですが、リハビリの継続が必要な方はリハビリ病院と連携してリハビリを行っていきます。

  • 術前

  • 術後

半月板損傷、前十字靭帯断裂、関節リウマチ

スポーツ外傷、怪我による半月板損傷や前十字靭帯断裂に対しては、関節鏡視下手術を行っております。1cm程度の傷を2-3個使用し、専用のカメラで関節内の半月板の損傷の程度を確認し、状況に応じて縫合術、部分切除術を行います。前十字靭帯は縫合しても、もとの強度は得られないため、自家腱(自分の腱の一部)を使用して、靭帯を作り直す手術(再建術)を行います。また、関節リウマチは薬物治療の進歩により、以前のような強い変形に進行する方は少なくなりましたが、それでも変形を完全に抑えることはできません。膝関節、股関節だけでなく、足の変形に対しても、日常生活に支障を認める方は手術加療を検討できます。

  • 電話番号

    03-3451-8211(代表)

  • 初診受付時間

    8:00-11:30

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