心臓血管外科

弁膜症手術について - 弁温存手術と経大動脈弁カテーテル治療(TAVI) 弁膜症手術について - 弁温存手術と経大動脈弁カテーテル治療(TAVI)

心臓は筋肉でできた袋のような内蔵で体内に血液を送り出すポンプの役割をしており、収縮拡張を繰り返しています。心臓のなかには弁という薄い膜があり、拍動するたびに、ドアの扉のように開いたり閉まったりします。この弁の異常による病気が心臓弁膜症です。息切れや足のむくみはよく自覚する症状です。弁膜症の中では「僧帽弁閉鎖不全症」や「大動脈弁狭窄症」が増加しています。

 

当院では、「弁膜症専門外来」を特設し、3D心臓超音波検査機(Phillips 社IE33心臓エコー)を用いて、弁膜症の正確な診断と病期判定に努めています。僧帽弁閉鎖不全症に対しては当院では早くから自己弁を温存する手術法(僧帽弁形成術)に取り組み、実績を積んでまいりました。一般的に技術的に困難とされる僧帽弁前尖逸脱症の弁形成術の手術成績でも、人工弁を用いず、自己組織である腱索を移植する方法などによる手術を行っており、これまで手術在院死亡はなく、良好な成績を出すことができています。僧帽弁形成術(自己弁温存術)においては抗凝固薬が必要でなくなるだけでなく、人工弁置換術より長く健康寿命を延ばすことが知られています。

 

大動脈弁狭窄症は大動脈弁が石灰沈着により固くなり心臓にとって大きな負担となる病気です。70歳以上の患者に多く認められ、重症の心不全の原因となる疾患ですが、初発症状は軽い息切れや動悸、むくみです。この病気においてはカテーテル治療(TAVI)も可能ですが、長期の予後を考えると開胸手術のほうが術後の生活の質がよい場合もあります。 TAVIか開胸手術のどちらが適切かは患者さんの状態によって異なります。ハートチームカンファレンス(循環器内科と心臓外科の話し合い)によって開胸手術がよいかTAVIが適切かを話し合います。

冠動脈バイパス手術(CABG) 冠動脈バイパス手術(CABG)

狭心症や心筋梗塞の患者様に対して行われる冠動脈バイパス術(CABG)は、当院の心臓血管外科においてもっとも多く行われている手術です。過去の手術件数は1200件を越えており、現在も手術件数が増加傾向にあります。 狭心症、心筋梗塞の治療においては、循環器内科医師によって心臓カテーテル治療(PCI)も行なっています。心臓カテーテル治療の利点として、患者の体力の負担が少ない、入院期間が短いなどのメリットがあります。一方PCIに比べてCABGでは心筋梗塞の再発が少なく、再入院率、遠隔期死亡が少なく、健康寿命を伸ばすデータが出ています。患者ひとりひとりの病変はさまざまであり、PCIとCABGはそれぞれ利点と欠点があるため、治療方針は緻密に適応を決めるべきです。冠動脈バイパス手術あるいはPCIのどちらを行うべきかの判断は、当院においては循環器内科医とともにハートチームとして決定されます。すなわち循環器内科とともに合同カンファレンスをおこない、エビデンスをもとに十分な議論のうえ決定されます。

CABGの利点

中枢側に新規病変が出現し、仮に動脈硬化粥腫の破綻による急性閉塞をきたしてもバイパスグラフとによる血流が保たれるため遠隔期の心筋梗塞発症を予防できる。吻合した血管の分枝の血流も温存され心機能も変化しない。

糖尿病と心筋梗塞の関連とは?

最近の心臓病の話題として、糖尿病と心臓疾患の間に強い関連性があることが指摘されています。糖尿病の患者様の場合、症状がなくとも実は多くの症例で冠動脈の異常をきたしていること(無症候性心筋虚血)が解ってきました。当院は、古くから糖尿病の治療とその余病対策に力をいれてきた病院です。その結果、当科における冠動脈バイパス手術患者の糖尿病の保有率は75%を超えており、たくさんの糖尿病患者が手術を受けておられることが特徴です。一般的に糖尿病患者の心臓手術では感染症などの手術リスクが増大すると言われています。しかしながら、当診療科では糖尿病を抱えた患者様の手術において豊富な経験をもっており、良好な結果を出すことができています。特に糖尿病の重症度に関わらず、合併症なく両側内胸動脈を使用していることが長期成績を向上させています。図3は両側内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術後の冠動脈CT画像です。無論、糖尿病を持っていない患者さまについても同様に良好な治療結果が出ています。

両側内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術(術後CT)

大動脈瘤に対するステントグラフト治療 大動脈瘤に対するステントグラフト治療

2017年5月の新主棟完成に伴い、当院にはハイブリッド手術室が導入されました。当科では、胸部および腹部ステントグラフト指導医資格を合わせ持つ血管外科専門医師とともに、心臓血管外科専門医、指導医が協力してチーム治療を行っています。これにより開胸(または開腹)外科手術もカテーテル治療も両方が可能となり、どちらとも手術件数が増加しています。

 

大動脈瘤とは、ヒトの一番太い大動脈がふくらんで瘤(こぶ)を形成する病気です。動脈硬化が原因の事が多く、通常無症状で、気が付かない内にどんどん大きくなり、一旦破裂してしまうと、突然激痛が生じ、死に至ることが多い恐ろしい病気です。

 

一般的には胸部では6cm、腹部では5cmを超えると、破裂の予防のために大動脈瘤を切除して人工血管に取り換える手術が行われてきましたが、日本でも腹部大動脈は2008年から、胸部大動脈も2009年からステントグラフトを用いた治療が可能となりました。

ステントグラフト治療とは、お腹や胸を切らずにカテーテルを用いて血管の内側から大動脈瘤を治療するもので、創が小さく患者さんの負担が大きく減りました。術式にもよりますが、一般的に胸部大動脈瘤も腹部大動脈瘤も、術後の滞在期間は4~5日程度となっております。残念ながら大動脈瘤の形や部位などの問題で、全ての患者さんに適応となるわけではありません。当科では患者さんの状態と病変部の形や部位をしっかりと把握した上で、最適な治療を提供しております。

また当科は日本ステントグラフト実施基準管理委員会が定めた胸部大動脈瘤および腹部大動脈瘤に対する指導医の資格を両方取得して常勤医がおり、通常ではステントグラフトが困難な症例に対しても積極的にステントグラフトを実施しております。他院でステントグラフトが困難と言われたり、高齢で手術が不可能と言われた場合でも、可能となることもありますので、一旦ご相談いただければと思います。

閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル血管内治療  閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル血管内治療 

閉塞性動脈硬化症とは動脈硬化のため、動脈がつまったり、狭くなったりして症状が出現する病気です。危険因子としては高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、透析などがあげられます。症状は病変部位によって異なりますが、 下肢に生じることが最も多く、歩くとふくらはぎのあたりが痛くなり、しばらく休むとまた歩けるようになる間欠性跛行が出現します。

症状が進行してしまうと、じっとしていても痛くなり(安静時痛)、さらに進行すると足の壊疽などが出現します。

今までは外科的バイパス術が治療の中心でしたが、最近はカテーテルによる血管内治療が増えています。カテーテルによる血管内治療は局所麻酔下に行い、創も付かないため、患者さんに優しい治療として増えてきておりますが、こちらも残念ながら現段階では全ての患者さんに適応することはできません。
無理にこの治療を行うことにより様々なトラブルが生じることが報告されており、場合によっては不必要な下肢の切断に至ることもあります。これらの不必要なトラブルを避けるためには、外科的バイパス手術と血管内治療それぞれの長所と短所をよく理解し、患者さんの状態と病変部の解剖および性状をしっかりと把握したうえで、治療のプランを立てることが必要です。

当科では、外科的バイパス術と血管内治療の両方を行っているため、低侵襲な血管内治療を安全に実施し、必要があれば外科的バイパス術への移行もスムーズに可能で、各々の患者さんに見合った適切な治療法を提供することができます。
さらに当科の特徴としては、循環器科とカテーテル治療を共同で行っており、閉塞性動脈硬化症の患者さんの死因の75%を占める冠動脈疾患(狭心症など)の検査・治療もカテーテル治療の際に、同時に行うことができ、より患者さんのための医療ができます。

日帰りシャントカテーテル治療(シャントPTA) 日帰りシャントカテーテル治療(シャントPTA)

血液透析の際に必要な内シャントは、場合によっては造設後も適切なタイミングで追加治療(血管拡張術:シャントPTA)をしないと長持ちしません。当科では、内シャント造設時から、将来的にシャントPTAを施行しやすい吻合の形をとっており、またシャントPTAが必要な際には、外来で、日帰りで行えるような体制を取っております。既に他院でシャントPTAを繰り返し行なっていて、毎回入院している方や、シャントをお持ちで、お困りの方がいましたら、一度ご相談下さい。

局所麻酔下の静脈瘤手術 局所麻酔下の静脈瘤手術

静脈は手足から心臓に向かって血液を戻す役割を担っておりますが、血液の流れの向きが一定になるように逆流を防止する「弁」が備わっています。これらの「弁」が壊れてしまい、逆流が生じて静脈が膨らんでしまうのが静脈瘤です。

無症状で血管だけ浮き出ていることもありますが、一般的な症状としては足がだるくて疲れやすい、むくむ、寝ているときにつる、黒っぽい色がついてかゆい、静脈炎がおきて痛い、なかなか治らない潰瘍があげられます。 下肢静脈瘤自体は生死にかかわるような悪性の病気ではありませんし、下肢の切断につながるようなこともありません。しかし徐々に進行していく慢性疾患であり、患者さんと症状を相談しながら希望に応じて治療を行っております。

保存的治療としては弾性ストッキング着用による圧迫療法がありますが、希望があれば注射による硬化療法、外科的手術として2017年5月からは、ラジオ波焼灼術を導入しました。いままで傷を付ける必要があったストリッピング手術(静脈抜去術)と違い、ほぼ痛み無く治療できますので、お困りの方がおられましたら、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

  • 電話番号

    03-3451-8211(代表)

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