クリニカルクオリティセンター(CQC)

CQC

クリニカルクオリティセンター(CQC)とは

当院の医療の質の管理を担う部門として設置されました。栄養支援室(Nutrition Support Team)、褥瘡予防対策室、クリニカルパス推進室、呼吸サポートチーム(Respiratory Support Team)、嚥下対策チームの5部署で構成されており、互いに連携し医療の質を担保・向上させることを目標に活動しています。

医療の質とは

「医療の質」? 最近ときどき耳にする言葉ですが、具体的にはどんなことでしょう? みなさんが体のどこかに不調を自覚したとき、あるいは健康診断の結果で精密検査を勧められたときに、さあどこの医療機関にかかろうか? 迷わず「済生会中央病院!」と言って下さる方がいらっしゃれば私共にとってこんな励みはありませんが、まずは、「さてどうしよう」と思案なさるのではないでしょうか。大切な自分の体、何としてもよい医療機関でよい診療をうけたいと願うのは当然のことでしょう。

でも、病院の良し悪し、医療の質の高い低いを判定することは大変難しいことです。単純な工業製品の性能の比較とは次元が違いますし、生涯の伴侶を決める時のように人それぞれ、数字に表現できない部分もあることです。ではありますが、なるべく万人に納得のいくような評価法が以前から研究されてきました。
一般的に医療の質を考えるときには、「構造、過程、結果」の三つの要素に分けて考えます。「構造」というのは、設備や規模といってもいいかもしれません。専門医が何十人いますとか、集中治療室があります、PETがあります、ということで、大切なことではありますが高価な機器があるだけでよい病院と即断する方はいないでしょう。「過程」は、診断や治療の流れ、こんな症状に対してこのような一連の検査をして、治療には内視鏡手術が可能ですとか、日帰り手術で対応していますとか、場当たり的でないしっかりした仕組みができているかどうかです。「結果」、これは95%の患者さんが治っていますとか、平均3日の入院で済んでいますとか、説得力のある数字で表現されます。こうした数字を使って「病院ランキング」などと称する流行がありましたが、治療成績一つとってみても、軽症の患者さんばかり診療している施設なら一見よい成績になるのは当然で、数字の一人歩きには特に注意が必要です。コンピュータやインターネットの普及した現代でも、客観的な「医療の質の評価」は難しい課題なのです。

構造、機能、結果の三要素がバランスよく高水準にあるのが良いとして、「病院の質」の評価を専門的にしている日本医療評価機構という団体があります。当院では2005年に初めてこの機構の審査を受け、合格のお墨付きをいただいておりましたが、以来5年が経過し、2011年2月に再認定のための3日間におよぶ訪問審査を受けました。手術室の構造や、ごみ処理の仕方、カルテの記載や保存方法、などなど膨大な項目にわたるチェックを受けた結果、無事再認定をいただくことができました。現在は2016年の再認定に向けて準備を始めたところです。

何度も申し上げるように医療の質の評価は、非常に複雑なものです。日本医療評価機構による認定取得は、まことに誇らしいことではありますが、それだけに満足することなく、何時でも誰にでもあてにしていただけるような、本当に患者さんのためになる質の高い医療を提供していく努力をこれからも続ける所存です。

今回触れることのできなかった具体的な取り組みや、その成果に関しましては、今後機会あるごとに皆さんにご報告させていただきますので、よろしくお願いいたします。

医療安全対策室

医療安全対策室

医療の現場において、医学の進歩や医療システムの高度化が進む一方、各種システムの複雑化や臨床現場の多重業務による疲弊は、医療事故が発生する大きな要因の一つとなっています。医療事故防止や医療の質と安全を管理するために、当院では以下の体制を整えております。

  • 医療安全対策室の設置

    (担当副院長1名、クオリティマネジャー1名、専従看護師1名、医師1名、看護師1名、薬剤師1名、事務3名)

  • 医療安全に関する各種指針・マニュアルの作成
  • ヒヤリ・ハットと呼ばれるインシデント事例の報告
  • インシデント事例の共有と他職種による事例検討
  • インシデント発生時の状況確認や対策・改善支援
  • アクシデント発生時の対応(状況確認、対策、対応、検討会議の開催と運営など)
  • 医療安全に関する全職員対象の院内研修会の企画・開催・運営
  • 医療安全に関連した各種委員会・会議の開催・運営
  • 医療安全ニュースの発行
  • 医療に関する患者相談窓口の設置

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前年度の実績

有害事象発生時の対応マニュアルの作成

医療安全推進週間での5S活動

RCA(根本原因分析)導入の準備

院内急変対応体制の整備に向けた取り組み

全職員対象の研修会実施(6回/年)

今年度の主な取組み

RCA(根本原因分析)の本格導入

院内医療メディエーター養成研修

院内急変対応体制の整備

全職員対象の研修会実施(6回/年)

  • 第1回『平成25年度のインシデント・アクシデントレポートの傾向と今年度の取り組み』
  • 第2回『RCA概論』
  • 第3回『苦情・悪質クレーム対応』
  • 第4回『院内医療メディエーター養成研修』
  • 第5回『合同研修』
  • 第6回『事故調査制度について』

患者さんに向けたひと言

「納得のいく説明を聞き、最善の治療を受けたい」
「安心・安全な治療を受けたい」
病院にいらっしゃる方は皆さん同じ思いではないでしょうか。その思いに応えるために、患者さんと医療者が治療という同じ目的に向かい、歩むことが大切だと考えています。
そして病院の職員一人ひとりが患者さんを中心としたチームの一員として、日々研鑽を積み、安心・安全な医療を提供するため、最善を尽くすことが重要だと考えています。

感染制御室

感染制御室

当院の院内感染対策は、安心してみなさまに医療を受けていただけるよう、病院に関わる全ての人たちに対し、以下のような院内感染対策を実施しています。

  • 手指衛生(標準予防策)などの感染対策

    感染対策の一つである手指衛生の実施強化をすることにより、医療従事者の手や医療器材を介しての、感染の伝播防止に努めています。

  • 感染発生状況の調査

    耐性菌の検出状況や院内での感染症の発生状況を調査し、早期発見・感染拡大防止に努めています。

  • 耐性菌防止のための抗菌薬の適正使用

    抗菌薬に効かなくなる菌の発生を抑制するために、抗菌薬の適正使用に努めています。

  • 職員教育

    職員に対し、院内感染対策に関する研修を定期的に行っています。

    また、院内を定期的に巡回し、適切に対策が実施されているか評価しています。

  • 地域連携

    地域の医療機関と情報交換を行うことによって、感染症発生を早期に抑制するよう努め ています。

前年度の実績

  • 感染防止対策チーム(ICT)ラウンド(毎週月曜日)

    標準予防策・環境整備を中心とした感染対策が実施されているか、全部署を対象とし確認、改善に努めました。

  • 地域連携カンファレンス

    (地域連携カンファレンス8回/年、相互カンファレンス1回/年実施)

    感染防止対策加算を取得している地域の医療機関と合同で年4回以上のカンファレンス、または相互の医療機関に出向き、感染防止対策が適切に実施出来ているか他者評価を行い改善に努めました。

  • 職員教育

    院内全職員対象の研修4回実施

    感染コントロール委員会内での研修9回実施

    新採用者研修(入職時実施)

    中途採用者研修(適宜実施)

    看護師対象マネジメント研修(感染管理)

    部署別研修

今年度の主な取り組み

手指衛生(標準予防策)の遵守率向上。

院内感染対策 院内感染防止と共に早期発見、感染拡大防止に努める。

患者さんに向けた一言

当院では『感染』から患者さんを守るため、院長の諮問機関として「感染コントロール委員会」を設置し月1回以上、また必要時には随時開催をしています。さらに、実践部隊として「感染防止対策チーム(ICT)」を設置し、臨床現場における感染問題に迅速に対応しています。

栄養支援室(NST)

栄養支援室(NST)

NSTとはNutrition Support Teamの頭文字をとったもので、一般的には栄養サポートチームと呼ばれています。このチームの目的は「最良の栄養管理を入院患者様へ提供すること」であり、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士だけでなく、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、医療事務等が職種の壁を越えて協働しています。栄養サポートが必要になる時として、以下の4つが挙げられます。

  1. 口から食事を食べられない
  2. 口から食べる量が少ないため、エネルギー補給の追加が必要
  3. 口から食べることはできるが、おなかの中(腸管)を治療のため休ませることが必要
  4. 栄養管理をすることで疾患の治療や改善をはかる

上記の理由などから栄養状態が悪い患者さん、または今後栄養状態が悪くなることが予想される患者さんを発見したら、栄養状態を評価し、必要な栄養を適切に補給することで、栄養状態を改善・維持し治療効果を高めるのがNSTの目的です。

昨年度の取り組み

口から食べる量が少ない時は、エネルギー補給の追加が必要になります。
点滴で補うこともできますが、元気な時と同じようにおなかの中(腸管)を使って栄養を吸収するのが人間の体にとって最も適した栄養摂取の方法となります。そのため入院中は経腸栄養剤を食事と一緒に患者様へ提供することがあります。この経腸栄養剤は当院で採用しているものだけで15種類もあります。そこで患者様におすすめする私たち職員も、製品に関する正しい知識を習得するため研修会を行いました。
研修会は経腸栄養剤の各メーカーの方に説明してもらい、実際に試飲もしてもらう内容としました。
研修会では経腸栄養剤などの現物やパンフレットを見ながら試飲をし、メーカーの方から直接説明を受けることにより理解を深めることができました。

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今年度の取り組み  ~誤嚥性肺炎を予防しよう~

食べ物や飲み物を飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」、この動作が正しく働かないことを「嚥下障害」といいます。また食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管や気管支内に入ることを「誤嚥」といいます。
そして口の中(口腔内)の清潔が保たれていないと、食べ物や飲み物、唾液に含まれた細菌が気管から肺に入り込むことで起こるのが「誤嚥性肺炎」です。
誤嚥性肺炎の予防でとても大切なことは、口腔内の清潔を保つことです。

NST委員会では正しい口腔ケアを身につけるため口腔ケア実習を行いました。

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歯科衛生士より一通り説明を受けた後、口のまわりのマッサージから始め、患者役の人は上顎に「オブラート」を貼り付けます。これで口腔内が乾燥している疑似体験ができます。
この後、スポンジブラシに水を含ませてオブラートをとりましたが、なかなか思うようにオブラートをとることができず大変でした。
各病棟の看護師がそれぞれの部署へ持ち帰り、正しい手技を広め誤嚥性肺炎を減らすことに繋げていきたいと考えています

患者さんに向けた一言

低栄養の状態は「病気にかかりやすい」「傷病回復が遅れる」「死亡率が高くなる」「医療費が増大する」「生活の質が低下する」といった様々な弊害が起こり得ます。私たち栄養サポートチームが介入することにより、これらの弊害発生をできる限り抑えられるよう日々取り組んでいます。
当院ご入院の際、もし栄養に関してお聞きになりたいことがあれば、私たちに何なりとご相談ください。

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褥瘡予防対策室

褥瘡予防対策室

『目指せ!院内褥瘡発生 ゼロ』

当院は急性期や重症の患者さんや行路生活者の患者さんが多く入院されているため、褥瘡を発生しやすい状況にあります。また、高齢者の増加とともに褥瘡を有する患者さんも増加しています。褥瘡対策室では、褥瘡を予防すること、褥瘡の早期治癒を目指し、平成26年5月から褥瘡管理者を配置し活動しています。
褥瘡の原因や要因は患者さんにより様々です。また、いくつかの要因が絡みあっていることが多いため、創の治療も重要ですが、それだけでは治りません。全身状態を把握して、ケアの方法を検討しています。
活動内容としては、多職種から構成している褥瘡予防対策委員会(専任医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、事務員)と協働し、それぞれの専門分野から褥瘡ケアに取り組み、患者さんのQOL向上を目指しています。週1回の褥瘡回診では、褥瘡対策チームで褥瘡予防に必要なケアや技術の提供、体圧分散寝具の選択を行っています。
褥瘡ができてしまった時は、早期に治るようにカンファレンスを行ったり、体圧分散用具の調整、管理も行っています。各部署のスタッフと連携を図りながら、患者さんに褥瘡のない入院環境を提供できるように努めています。

今年度の取り組み

褥瘡予防対策委員会目標:褥瘡予防強化、褥瘡の早期治癒を目指し、褥瘡推定発生率及び褥瘡有病率を低下させる

当院の院内褥瘡発生率は全国平均よりも高く推移しています。そのため、患者さんの入院時からリスクアセスメントを行い、褥瘡のある患者さんは速やかに適切な治療を開始します。褥瘡がない患者さんには褥瘡ができないように、計画を立ててケアを行います。
委員会を月1回開催し、院内の褥瘡発生数、褥瘡予防ケアを行っている患者数の調査や褥瘡ケアの評価を行っています。毎月勉強会を開催し、委員の褥瘡ケアのスキルアップを目指しています。その後委員は各部署で伝達講習を行い、褥瘡ケアの標準化を図っています。

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ポジショニング勉強会

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褥瘡回診

患者さんへ

褥瘡は様々な原因でできてしまうため、褥瘡ができないように病院全体で取り組んでいます。院内のスタッフで情報を共有し、患者さん苦痛がないように取り組んでいます。院内だけではなく、他施設、地域とも褥瘡ケアがスムーズに行えるように連携を図っています。

緩和ケア推進室

緩和ケア推進室

緩和ケアは、がんと診断された方の身体的、精神的、社会的あるいはスピリテュアル (霊的)な要因で生ずる苦痛症状や、がん治療による副作用などの軽減を図るもので、がんの進行度自体とは関係ありません。
当院緩和ケア科では、多職種からなる緩和ケアチームを中心として、緩和ケアを必要とされる患者さまやそのご家族と面談し、必要な治療やケアを計画・実施し、患者さまが十分満足の得られる緩和医療を提供いたします。

前年度の実績(H25.4~H26.3)

  • 年間依頼件数 180件(新規患者数102名)
  • 年間回診件数 3611件
  • 緩和ケア外来 58件
  • 依頼者 医師 159件

    看護師 21件

  • がん腫別

    眼・脳・神経2件、頭頸部2件、食道4件、胃10件、大腸14件、膵臓4件、肺54件、乳20件、子宮・卵巣8件、前立腺2件、腎膀胱5件、 リンパ血液31件、原発不明2件、その他18件

  • 区分

    がん173件、非がん7件、小児がん0件

  • 依頼の時期(がん患者のみ)

    診断~初期治療前 14件

    がん治療中(手術、化学療法、放射線療法施行中)102件

    積極的がん治療終了後 57件

  • 依頼時の症状(複数回答)

    疼痛159件、呼吸困難・咳・痰24件、嘔気嘔吐18件、便秘19件、腹満感14件、食欲低下24件、倦怠感17件、口腔の問題3件、その他の身体症状49件
    不安・抑うつ・悲嘆36件、不眠50件、不穏・せん妄4件、認知症1件、スピリチュアルな問題1件
    がんの診断・治療に関する問題10件、社会的な問題4件、家族の問題6件、療養場所に関する問題11件

  • 転帰

    症状改善のため介入終了1件、緩和ケア病棟転院6件、その他の転院15件、退院105件(退院のうち在宅ケア介入14件)、死亡退院53件

患者さまに向けた一言

いま、国民の2人に1人ががんに罹る時代となり、今後もますます増える傾向にあります。
緩和ケアとは、重い病を抱える患者さまやそのご家族一人一人の身体や心などの様々なつらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるよう支えていくケアです。
診療ご希望の方は、当科に直接か 当院がん相談室を通じお問い合わせの上ご予約下さい。
また、患者さまやご家族を対象にしたがんサロン(情報交換会)を毎月1回開催し、がんとつき合っていくうえで役立つ新しい情報も提供しておりますので、お気軽にご参加下さい。

CQC緩和ケア

クリニカルパス推進室

今年度の主な取り組み

  • クリニカルパス数の増加と改訂

    昨年度は念願の内科急性疾患のクリニカルパスとして尿路感染症、蜂窩織炎のパスを作成して、運用を開始しました。今年度は新規に肺炎パスを作成して、これらの急性疾患について緊急入院患者に適応数を増やしていく予定です。

    今年度は、新主棟に移行して新たなシステムのもとでのクリニカルパスを作成するための支援体制を整え、新規登録数増加に努めます。また、運用中のクリニカルパスについても蓄積データから見直しをして、定期的なミーティングを行い、パスの改善を通してさらなる医療の質向上を目指します。

  • パス大会の実施

    院内へのクリニカルパスの普及を目的としパス大会を開催します。
    パス大会では診療部門(医師)、看護部門(看護師)双方からクリニカルパスの内容、対象疾患などについて説明をします。また、事務部門からは診療報酬(DPC対応)、在院日数の適正について話します。

    院内で運用されているクリニカルパスへの理解を深めるとともに、多職種で情報を共有することにより、医療安全、医療事故防止、チーム医療の促進に繋げられるよう努めます。
    これまでに登録された電子パス数は計106となりました。昨年度新規パスとして、新たに計21件(内訳:消化器内科2、糖尿・内分泌内科2、循環器1、整形外科3、婦人科5、小児科8)のパスが登録され、年間目標数10件増を達成しました。適用率は27.4%で目標を達成しました。 今年度は呼吸器内科の肺炎パスを始めとして8件のパスが既に登録されています。

患者さんに向けた一言

クリニカルパスは医療従事者がチームとなって協力し、治療やケアを行うことで医療が標準化されます。同時に、患者さんにとっても治療経過や内容がわかりやすく、安心して治療を受けられるようになるものです。
今後も学会などで最新の知見を取り入れながらクリニカルパスの作成・活用を推進し、医療の標準化と安全性の確保、医療の質向上を目指し活動してまいります。