クリニカルクオリティセンター(CQC)

CQC

クリニカルクオリティセンター(CQC)とは

当院の医療の質の管理を担う部門として設置されました。栄養支援室(Nutrition Support Team)、褥瘡予防対策室、クリニカルパス推進室、呼吸サポートチーム(Respiratory Support Team)、嚥下対策チームの5部署で構成されており、互いに連携し医療の質を担保・向上させることを目標に活動しています。

栄養支援室(NST)

栄養支援室(NST)

栄養状態は、治療や手術を受け回復していく過程でとても重要となります。栄養状態を良好に保つことで、治療効果が向上し、感染症などの合併症のリスク軽減など、様々な効果が期待できることが明らかになっています。

その栄養面を支える活動をしているのが、NSTです。
NSTとはNutrition Support Teamの頭文字をとったもので、一般的には栄養サポートチームと呼ばれています。このチームの目的は「最良の栄養管理を入院患者様へ提供すること」であり、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士だけでなく、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、医療事務等が職種の壁を越えて協働しています。栄養状態が悪い患者さん、または今後栄養状態が悪くなることが予想される患者さんを早期に発見し、栄養状態の評価、適切な栄養管理をすることで、栄養状態の改善・維持のサポートをしていきます。

以下の場合、NSTの介入を検討します。

  1. 口から食事を食べられない、または食べられる量が不十分
  2. 治療のため、口から食べることができない
  3. 血清アルブミン値が低値(3.0g/dl未満)
  4. 栄養管理をすることで疾患の治療や改善が期待できる

NSTの取り組み

①当院の栄養剤を知ろう!

口から食べる量が少ない時は、エネルギー補給の追加が必要になります。
点滴で補うこともできますが、元気な時と同じようにおなかの中(腸管)を使って栄養を吸収するのが人間の体にとって最も適した栄養摂取の方法となります。そのため、入院中は食事と一緒に経腸栄養剤を患者様へ提供することがあります。この経腸栄養剤は当院で採用しているものだけで15種類もあります。そこで患者様にお勧めする私たち職員も、製品に関する正しい知識を習得するため毎年研修会を行っています。
研修会では経腸栄養剤の各メーカーの方から商品の説明を受け、実際に職員が試飲する内容となっています。
研修会では経腸栄養剤などの現物やパンフレットを見ながら試飲し、メーカーの方から直接説明を受けることにより理解を深めることができています。

当院の栄養剤を知ろう!

当院の栄養剤を知ろう!

②誤嚥性肺炎を予防しよう!

食べ物や飲み物を飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」、この動作が正しく働かないことを「嚥下障害」といいます。また食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管や気管支内に入ることを「誤嚥」といいます。 そして口の中(口腔内)の清潔が保たれていないと、食べ物や飲み物、唾液に含まれた細菌が気管から肺に入り込むことで起こるのが「誤嚥性肺炎」です。

誤嚥性肺炎の予防でとても大切なことは、口腔内の清潔を保つことです。
NST委員会では正しい口腔ケアを身につけるため口腔ケア実習を行っています。

②誤嚥性肺炎を予防しよう!

②誤嚥性肺炎を予防しよう!

歯科衛生士より一通り説明を受けた後、口のまわりのマッサージから始め、患者役の人は上顎に「オブラート」を貼り付けます。これで口腔内が乾燥している疑似体験ができます。 その後、スポンジブラシに水を含ませてオブラートをとりましたが、なかなか思うようにオブラートをとることができず大変でした。普段患者さんがどのような気持ちでケアを受けているか、実際に体験をして感じることができるとてもよい機会でした。

患者さんの気持ちに寄り添うケアをすることも、チーム医療の重要な役割だと感じています。各病棟の看護師がそれぞれの部署へ持ち帰り、正しい手技を広め誤嚥性肺炎を減らすことに繋げていきたいと考えています。

②誤嚥性肺炎を予防しよう!

患者さんに向けた一言

低栄養の状態は「病気にかかりやすい」「傷病回復が遅れる」「死亡率が高くなる」「医療費が増大する」「生活の質が低下する」といった様々な弊害が起こり得ます。私たち栄養サポートチームが介入することにより、これらの弊害発生をできる限り抑えられるよう日々取り組んでいます

当院ご入院の際、もし栄養に関してお聞きになりたいことがあれば、私たちに何なりとご相談ください。

患者さんに向けた一言

患者さんに向けた一言

褥瘡予防対策室

褥瘡予防対策室

褥瘡の原因は患者さんにより様々です。高齢の患者さんは皮膚が弱く、傷つきやすい特徴があります。重症患者さんは年齢を問わず自分で動くことができないため、褥瘡発生リスクが高まります。複数の原因が絡み合って褥瘡はできるので、創部の処置だけではなく、患者さんの生活を支援するケアの中で褥瘡対策をどのように行うか検討しています。各部署のスタッフと連携を図りながら褥瘡だけではなく、創傷を予防または早期に改善するような入院環境を提供できるように努めています。

当院の褥瘡対策は、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・理学療法士・臨床検査技師・事務員がチームを取り組んでいます。週1回の褥瘡回診を行い、多職種でケア方法を検討しています。また、地域とも密接に連携しており、退院後の患者ケアにも配慮しています。

褥瘡回診

褥瘡回診

褥瘡回診新人看護師への褥瘡ケア指導

褥瘡回診新人看護師への褥瘡ケア指導

リンクナースの褥瘡勉強会

リンクナースの褥瘡勉強会

リンクナースの褥瘡勉強会

クリニカルパス推進室

今年度の主な取り組み

  • クリニカルパス数の増加と改訂

    昨年度は念願の内科急性疾患のクリニカルパスとして尿路感染症、蜂窩織炎のパスを作成して、運用を開始しました。今年度は新規に肺炎パスを作成して、これらの急性疾患について緊急入院患者に適応数を増やしていく予定です。

    今年度は、新主棟に移行して新たなシステムのもとでのクリニカルパスを作成するための支援体制を整え、新規登録数増加に努めます。また、運用中のクリニカルパスについても蓄積データから見直しをして、定期的なミーティングを行い、パスの改善を通してさらなる医療の質向上を目指します。

  • パス大会の実施

    院内へのクリニカルパスの普及を目的としパス大会を開催します。
    パス大会では診療部門(医師)、看護部門(看護師)双方からクリニカルパスの内容、対象疾患などについて説明をします。また、事務部門からは診療報酬(DPC対応)、在院日数の適正について話します。

    院内で運用されているクリニカルパスへの理解を深めるとともに、多職種で情報を共有することにより、医療安全、医療事故防止、チーム医療の促進に繋げられるよう努めます。
    これまでに登録された電子パス数は計106となりました。昨年度新規パスとして、新たに計21件(内訳:消化器内科2、糖尿・内分泌内科2、循環器1、整形外科3、婦人科5、小児科8)のパスが登録され、年間目標数10件増を達成しました。適用率は27.4%で目標を達成しました。 今年度は呼吸器内科の肺炎パスを始めとして8件のパスが既に登録されています。

患者さんに向けた一言

クリニカルパスは医療従事者がチームとなって協力し、治療やケアを行うことで医療が標準化されます。同時に、患者さんにとっても治療経過や内容がわかりやすく、安心して治療を受けられるようになるものです。
今後も学会などで最新の知見を取り入れながらクリニカルパスの作成・活用を推進し、医療の標準化と安全性の確保、医療の質向上を目指し活動してまいります。

呼吸サポートチーム

呼吸サポートチーム(Respiratory Support Team: RST)

急性呼吸不全・慢性呼吸不全の患者様に、呼吸器内科医師・集中ケア認定看護師・薬剤師・理学療法士・言語聴覚士・管理栄養士・臨床工学技士からなる多職種連携による横断的な活動によって人工呼吸器の早期離脱を目的として構成される呼吸サポートチームです。週1回の合同カンファレンスと週2回の定期回診を行い、多角的な視点による細かな支援を提供。主治医と連携し年間のべ1,300人の患者様をサポートしております。

合同カンファレンスと回診

呼吸器内科医師

患者様が順調に回復されますよう、病態と病状に即した最適な呼吸管理を主治医と連携して行っております。

集中ケア認定看護師

高度急性期病院にふさわしい看護実践を支援するため、どの病棟でも安全な呼吸ケアを提供できるように集中ケア認定看護師を中心に院内ラウンドを行っています。
人工呼吸器やNPPVの設定だけでなく、患者さんにとって効果的で苦痛の少ない看護ケアを目指して病棟看護師と協働するだけでなく多職種との懸け橋となれるよう実践内容を高め、コンサルテーション体制の強化を行っています。

薬剤師

呼吸管理されている患者様の点滴ルート内での相互作用をチェックし、呼吸抑制が起こらないように鎮痛薬や鎮静薬の投与量の確認を行っています。また人工呼吸器を装着した患者様では肺炎などの感染症にかかりやすいため、抗生剤の腎機能に応じた投与量の調整を行っております。

理学療法士

人工呼吸器装着中の患者様はベッド上臥位となるため痰の貯留や、廃用症候群による筋力が弱る筋力低下、関節が固くなる関節拘縮などを引き起こすことがあります。これらを看護師と共働し、早期より離床を促し廃用症候群の予防・改善に努めています。また、痰を自分の力で出せない患者様には、喀痰の為に体位交換や呼吸筋トレーニングを行い、胸の動きが硬く呼吸をしづらい患者様には、胸郭の可動性や柔軟性の改善を図り、呼吸器からの離脱がより効率的に行えるよう、患者様個々の必要性に応じ様々な呼吸リハビリを提供いたします。

言語聴覚士

人工呼吸器やNPPV使用中から介入することで、人工呼吸器やNPPV離脱後にスムーズに嚥下評価を行い、適切な食形態で摂食を開始し、早期に経口摂取が開始することを目指しております。患者様の状態によっては、人工呼吸器離脱後、重度の嚥下障害を呈する場合があるため、耳鼻咽喉科と協力し、嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)を実施し、摂食嚥下訓練や食形態の提案を行っております。

管理栄養士

人工呼吸器を装着している患者様の栄養状態を評価し、投与ルートや栄養剤の選択など適正な栄養補給ができるようアドバイスをしています。また、NST(栄養サポートチーム)や病棟担当管理栄養士と連携し、患者様の栄養状態の向上に努めております。

臨床工学技士

人工呼吸器の点検や1日2回の人工呼吸器ラウンドを毎日実施。ベットサイドで使用されている人工呼吸器の安全確認を行っております。主治医・病棟スタッフと情報共有し、早期離脱に向け、病態に適した呼吸管理・患者様が安全に使用して頂くため、最適な機種やモード・設定などの提案をしております。

嚥下対策チーム

嚥下対策チーム

肺炎は日本の死亡原因の第4位となっています。しかし、65歳以上の高齢者の死亡の原因では第1位となります。高齢化が進み、抵抗力が低下している高齢者が増加していることも要因と言えますが、加齢により食べ物を飲み込む力や噛む力などの衰えによって誤嚥することで肺炎が起きる誤嚥性肺炎が急激に増えています。適切に食べることは生命の維持に必要不可欠であり、生活を豊かにするもののひとつと言えます。

嚥下対策チームではこの誤嚥性肺炎に注目し、サポートや取り組みを実施しています。現在は内視鏡やレントゲンを用いた飲みこみの力を評価する検査を実施し、件数が年々増加しています。また、嚥下問診表という用紙を作成し、入院時に全ての患者様に飲みこみについて質問させていただいています。この問診表で誤嚥のリスクや実際に誤嚥している可能性のある患者様をリストアップし、誤嚥性肺炎を起こさないよう予防的に介入する取り組みを始めています

患者さんに向けた一言

口から食べることは「栄養補給」ということだけでなく、QOL(生活の質)に影響します。食べるという動作や機能は同時に、誤嚥や窒息といった生命に直結するような危険を伴うこともあります。

「不意に咳き込むことが増えてきたな」「同じものを食べているのに食事の時間が長くなってきたな」「食後、なんだか疲れているように見えるな」
このようなことがあれば、それは誤嚥の一歩手前かもしれません。ご入院の際、気になる方は是非ご相談ください。