放射線治療科

当科の取り組みと特徴 当科の取り組みと特徴

  • ガイドラインや最新の知見(エビデンス)をふまえながら、各患者さんの状態に最適な放射線治療を実施します。
  • 放射線のビームを病巣に集中させ周囲正常組織への影響を減らす、高精度放射線治療を積極的に実施しています。
  • 地域の中核的総合病院であることを活かし、各診療科と協力して基礎疾患を有するがん患者さんにも適切な放射線治療を実施します。
  • 生活の質(QOL)に配慮した緩和的放射線治療にも積極的に取組んでいます。

・当院は日本放射線腫瘍学会の認定施設です。

強度変調回転照射VMAT対応の放射線治療装置
(リニアック)
強度変調回転照射VMAT対応の放射線治療装置
(リニアック)

当院の新放射線治療システム
(バリアンメディカルシステムズのTrue Beam, ユーロメディテック社の光学的照合装置AlignRT, 島津製作所の動体追跡システムSyncTraXF4)

バリアン メディカル システムズ製の高精度治療対応リニアックTrue Beamを導入しました。強度変調回転照射VMATは、強度変調放射線治療(IMRT)の進化版です。従来IMRTでは、照射する角度で装置が止まって放射線を出していました。5方向から照射する場合は、「装置が動いて、止まって、照射する」を5回繰り返す必要がありました。一方VMATでは、装置が体の周りを回転しながら照射することが可能です。このためVMATでは複雑なIMRTを短時間で実施できます。従来は脳腫瘍や頭頸部腫瘍、前立腺がんなどが主な対象疾患でしたが、胸部や腹部、骨盤部などにIMRTの適応を広げていきます。

前立腺がんの放射線治療計画 

体表面位置照合システム

ユーロメディテック社の光学的照合装置AlignRTは、天井の3つの最新光学システムと高解像度カメラを使って、体表面の位置合わせを0.1mm単位の精度でおこなうことができます。光を使った位置合わせなので、被曝がありません。体表面照合システムでモニターすることにより、治療中の体の動きを素早く察知でき、位置ずれを補正できます。

 また、従来は位置合わせの目印として、皮膚にマジックで多数のマークを描くことが必要でした。特に汗ばむ季節など、マジックの色が下着についてしまうこともありました。本システムの導入により、これを最小限に減らすことができます。

強度変調放射線治療 (IMRT) 強度変調放射線治療 (IMRT)

強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)とは、コンピュータの助けを借りて正常組織の照射線量を抑えつつ腫瘍部分に放射線を集中して照射できる画期的な照射技術です。これによって、従来法では不可能であった理想的な放射線治療が可能となり、腫瘍制御率の向上や合併症の軽減が期待されています。

強度変調放射線治療には毎回の位置決めなどに高い精度が必要です。精度が低いと、本来照射すべき標的に十分な線量を照射できなかったり、本来避けるべき臓器に高い線量が照射されてしまうことがあるからです。身体が動かないように型のようなもので固定したりすることもあります。前立腺など、体幹部の腫瘍に対する強度変調放射線治療では、治療の際にリニアックに備え付けの装置でX線撮影やCT撮影を行い、画像により位置を確認して行っています。そのために一回一回の治療に通常の治療よりも時間がかかります。

 

また、治療開始前に、3次元治療計画装置を用いて何度も線量計算を繰り返し、最適の治療法を探ります。また、複雑な照射法になるために実際に照射を始める前にコンピューター上の形成通りに正しく照射されるかを個別に検証する必要があります。そのため治療計画CTの撮影から治療開始までに通常の放射線外照射より長い準備期間(通常1週間程度)を必要とします。

 

現在IMRTの公的医療保険の適応は、「限局性固形悪性腫瘍」です。このため多くの種類のがんがIMRTの対象となります。

 当院では、従来の照射法と比べてIMRTの有用性が高いと考えられる場合、積極的に実施しています(IMRTが全ての症例に適するわけではありません)。当院でIMRTを実施しているのは 、前立腺がん、脳腫瘍、頭頸部腫瘍(のどや鼻、くびのがん)、食道がん、縦隔腫瘍、肺がん、膵臓がん、乳がん(領域リンパ節照射症例)、子宮がん、直腸がん、肛門管がんなどです。

ピンポイント照射 (定位放射線治療) ピンポイント照射 (定位放射線治療)

通常の外照射よりも高い精度で位置決めを行い、放射線を病変の形状に正確に一致させて3次元的に集中照射する放射線治療です。周辺の正常組織の被曝を減らしながら病変に高い線量を照射することが可能になります。

定位照射は転移性脳腫瘍その他の頭蓋内悪性腫瘍、聴神経腫瘍などの良性腫瘍、肺、肝など体幹部腫瘍にも適用が拡がっています。

基本的にはあまり大きな腫瘍や多発する腫瘍には向かず、3~4cm程度以内の大きさの病変に優れた治療効果を発揮します。

当院では主に下記の疾患に対して定位照射を行っています。

  • 転移性脳腫瘍などの頭蓋内腫瘍
  • 直径5cm以下の原発性肺がん、原発性肝がん
  • 3個以下の転移性肺がん、転移性肝がん
  • その他5個以内の転移病巣(オリゴ転移)

脳転移に対する金属フレームレスの定位照射

多発性脳転移に対して短時間で効率的に線量集中性の高い定位照射を行えます。当院のシステムではプラスチックのお面で頭部固定するので、金属フレームの頭蓋骨への固定が不要です。ガンマナイフなどと同等の高精度の定位照射が可能です。

動体追跡システム 動体追跡システム

定位照射(SRT)(詳細解説記事にリンク)では、5㎝以下の小さな病巣に対してピンポイント的に高線量を集中照射します。治療は1回から数回で終了します。肺や肝臓などにできた呼吸移動する腫瘍に定位照射する場合、従来は数十秒間の息止めが必要でした。新たに導入した島津製作所の動体追跡システムSyncTraXF4は、動体追跡システムと呼ばれています。腫瘍近傍に留置した金属マーカーを目印に追跡して、腫瘍に正確に照射します。これにより、照射範囲を小さくでき、副作用のリスクが減ると期待できます。

腫瘍近傍に埋め込んだ金マーカを2方向からのX線透視画像上でモニタリングし、治療ビームの照射タイミングをコントロールする。

乳がん術後照射 乳がん術後照射

乳がん術後照射(寡分割照射、深吸気息止め照射、IMRTなど)

寡分割照射:通常の放射線治療回数(25回)よりも少ない回数(16回)なので、短期間で終了します。1回あたりの放射線量は少し強くなります。部分切除後で、臨床上適応がある場合は選択可能です。

深吸気息止め照射:左側乳がんの部分切除術後では、心臓への放射線の影響を減らす「深吸気息止照射」を実施しています。

左乳がんの部分切除術後の線量分布図です。放射線の照射される範囲と強さが色分けされています。aの通常照射に比べて、bの深吸気息止め照射では心臓への照射を少なくすることができます。

  • a.通常照射

  • b.深吸気息止め照射

 

IMRT: 所属リンパ節領域(腋窩や鎖骨上窩、傍胸骨領域)への照射が必要な場合には、IMRTを実施することがあります。

右乳がん全摘術後の胸壁・領域リンパ節照射のIMRT治療計画の線量分布図です。aの通常照射に比べて、bのIMRTでは肺野の線量を減らし、胸壁とリンパ節領域に十分で均一な放射線を照射することが可能です。

  • a.通常照射

  • b.IMRT

体表面位置照合システム:  毎回の放射線治療時の位置合わせには、治療ベッド上でX線撮影した画像を使って確認します。治療のための目印として、皮膚にインクで線を描きます。これまで乳がんの放射線治療で乳房や胸壁に照射する場合には、特に多くの線を描くことが必要でした。胸にたくさんの線を描かれて、入浴時や下着にインクがつくことにストレスを感じられるかたもおられました。

新規導入した体表面位置照合システムは、被曝のない最新光学システムと高解像度カメラで患者さんの体表面をモニタリングすることで、位置合わせを0.1mm単位の精度で実施できます。毎回の治療時の体位を正確に再現できるので、皮膚の線も目立たない最小限のものです。 当院は、体表面位置照合システムを駆使して患者様にやさしい乳がんの放射線治療をおこなっています。

 

放射線皮膚炎看護外来(2023年4月開設)

治療中の放射線皮膚炎に関する、看護師による相談外来です。

※原則として、放射線治療科医師の指示により予約をお取りします。

【外来概要】

乳がん後照射では、乳房や胸壁など皮膚に近い部位に放射線があたります。治療回数が進むと治療範囲に赤み・かゆみなどの皮膚炎が起こりますが、擦れなどの刺激で症状が強くなる場合があります。できるだけ症状を悪化させずに治療を続けていただくための相談窓口です。症状悪化を防ぐケア方法のご紹介や相談への対応、日常生活上の注意事項のご提案を致します。

 

【ご利用のタイミング例】

・放射線治療開始時の全ての方

・放射線皮膚炎の症状が気になりはじめた、または症状が強くなってきた時など、ご希望や症状に応じて利用可

 

【外来概要】

・外来担当者:放射線治療科外来看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師、がん看護専門看護師 

・外来開設日:月曜日~金曜日(祝日を除く)、9:00~17:00の間で応相談

緩和的放射線治療 緩和的放射線治療

緩和的放射線治療

痛みや苦痛をやわらげ、生活の質(QOL)を改善することを目的とした放射線治療です。

 

骨転移による痛み、腫瘍の脊髄や神経を圧迫による麻痺や痛み、出血、狭窄、通過障害などに有効です。

 

今後起こりうる症状にも対応する場合があります。

 

患者さん、主治医、緩和ケアチームと相談しながら、最適な時期に放射線治療を実施します。

 

症状や状態にあわせて最適な治療回数を決定します。1回から20数回と幅広い選択が可能です。

 

以前放射線治療したのと同じ部位に再照射することも積極的に検討します。

セカンドオピニオンのご案内 セカンドオピニオンのご案内

セカンドオピニオンのご案内

放射線治療専門医は、幅広い種類のがんの診療をおこなう、がん治療の専門家です。

 

各種ガイドラインや最新の知見に基づきながら、患者さんが最適な治療を選択するお手伝いをします。

 

生活の質に配慮し、ライフスタイルに最適ながん治療を選択するお手伝いをします。

 

経験豊富な放射線治療専門医が対応します。主治医からの紹介状など「相談に必要な資料」が必要です。

看護師による治療継続支援 看護師による治療継続支援

医師の診察の後、放射線治療の準備や治療の流れについてご説明します。

その他、診察で確認し忘れたこと、気がかりなことを伺って、看護師から補足説明をしたり、ご希望に応じ医師からもう一度説明が受けられるように調整いたします。

副作用対策や、治療中の日常生活の調整などのご相談にも対応しています。

お気軽にお声かけください。

※ご相談内容により、専門的な相談窓口のご利用を提案することがあります。

 

総合力とチーム力 総合力とチーム力

「がんに強く、患者さんに優しい」をモットーに、高精度放射線治療や緩和照射を提供します。新たに医学物理士、がん看護専門課程修了者も放射線治療チームに加わりました。「総合力とチーム力」で、より良い放射線治療を、より多くの患者さんにお届けします。

リニアック室での集合写真

  • 電話番号

    03-3451-8211(代表)

  • 初診受付時間

    8:00-11:30

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