「済生会中央病院」と「がん研有明病院」との連携協定について

がん研連携10

済生会中央病院は「総合病院」です。一体、総合病院って何?

    2015年に開院100周年を迎えた当院は、開院当初から一貫して総合病院として機能して参りました。この総合病院とは一体何でしょうか? 商店で言えばデパートのようなものとお考え下さい。皆様は高価なもの、大切なものを買い求めるときには、大手家電量販店や家具専門店などの専門店に行かれるのではないでしょうか。医療の現場に於いても同じで専門志向が進んでいます。がんならばがんセンター、心臓疾患ならば循環器病センター、消化器疾患なら消化器病センター、脳血管疾患ならば脳卒中センターといった、ある疾患に特化した病院に患者さんが集まる傾向があります。このような疾患別センター、臓器別センターは、医学が高度先進化、専門分化を進めていく上で好都合でした。しかし一方、社会は高齢化が進み、多くの患者さんが複数の疾患を抱えることが多くなり、このような臓器別センター単独では対応できなくなっています。やはり、デパートの持つ総合力が必要になってくるわけです。デパートなら、それぞれの品物の品揃えは大型量販店にはかないませんが、なんでも1か所で揃います。お腹がすけば食事もしていけます。

専門病院、総合病院にはそれぞれメリットとデメリットがあります

    専門病院では、ある疾患については、どんな設備も機器も揃っているといったメリットがあり、その疾患の専門家も多く常駐しています。例えば、がん専門病院では、細かく専門分化された部門、つまり、胃がんの専門部門、肺がんの専門部門などのように、担当する部門が臓器別に分かれており、更にそれぞれの臓器別部門が手術治療の専門部門、薬物治療の専門部門、放射線治療の専門部門などに分かれています。これらの部門は有機的に連携がよくとれているので、がんを治療する上では、多くの専門家がそれぞれの立場の意見を出し合って、患者さんに最も適した治療が施されます。しかし、それとは裏腹にデメリットもあります。高齢化が進んだ現在では、患者さんは治療目的の疾患の他にも、いくつかの基礎疾患を持っている場合が少なくありません。このような患者さんには、高度先進的治療と同時に、併存する他疾患の管理・治療も行わなければならなくなります。がん以外の病気(いわゆる持病)があった上で、がんの治療を行わなければならないとき、あるいは、がんの治療中に、がん以外の病気(脳卒中、心筋梗塞、感染症など)が起こったときなどには総合病院の持つ総合力が必要になります。近頃の人口の急激な高齢化によって、持病のある患者さんは急増しており、また、いまだ発症はしていなくても、がんの治療によって体力が弱まった隙に発症してしまう病気を、潜在的に持っている患者さんも増加しています。がん専門病院は、がんの診断、治療に特化されている病院なので、がんの診療に必要な最先端の医療機器が揃っており、多くの専門家が常駐していますが、がん以外の病気の診療機器は少なく、がん以外の領域の専門家は少ないのが普通です。したがって、がん専門病院では、がん以外の持病を持ったがん患者さんすべてを受け入れることができないのが現状です。すべてのがん患者さんに対して門戸が開かれている訳ではないことになります。
   このように、専門病院、総合病院には、それぞれメリット、デメリットがあるのです。どちらも単独では、急速に高齢化が進む患者さんすべてに対応することが困難になっています。

では、どうしたら良いのでしょうか?

 専門病院と総合病院が協力してその治療に当たることが必要となります。これまで、総合病院と専門病院とが密接に連携することはありませんでしたが、今回、全国に先駆けてがん専門病院である「がん研有明病院」と総合病院である当院とが互いに密接に連携を行う構想が2010年に生まれました。今までに類のない連携でしたので、乗り越えなければならない障害は数多くありましたが、お互いの多くの職員同士で顔の見える関係を作っていくことからはじめ、年間600名ほどの患者さんに共同診療を行うような実績が積み上げられた末、2013年9月18日、当院に於いて両院院長の間で連携協定の正式調印式が執り行われました。

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病院間連携の調印式

その後、徐々に社会的にも認知度が上がり、新聞記事にも、当院とがん研有明病院との連携が取り上げられたりするようになり、2014年5月12日には、TKPガーデンシティ品川に於いて両院の職員総勢約230名が集まり、盛大な懇親会も催されました。総合病院のメリットと専門病院のメリットが融合して、患者さんに最良の医療を提供できるよう、今後益々両院の連携を広げていく計画です。
                 副院長 廣谷 隆

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両病院による医療連携の会

Data

がん研連携13

 

その他の主な連携

 ※ 「がん研有明病院」で当院の循環器科医師が週3回、糖尿病内科医師が週1回外来診療を
   実施しています

 ※ 必要に応じて「がん研有明病院」の入院患者さんの心電図、CT画像の診断をITを用いて
   当院の医師が実施しています

 ※ 職種ごとの勉強会や研修を共同で実施しています

 ※ 年1回ずつ、「がん研有明病院」と当院とで、それぞれの医師による職員向け講演会を開
   催しています