倫理的取り組み

倫理審査委員会と臨床倫理コンサルテーション

はじめに

 以前の「医の倫理(医療倫理)」は、以下のヒポクラテスの誓いにあるように、「自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。」「依頼されても人を殺す薬を与えない。」「同様に婦人を流産させる道具を与えない。」などと患者生命に利するようにと明快に決められていました。しかし、現在では、患者生命に利する治療と患者が望む治療が異なることも多々認められるようになり、「医の倫理」の概念が変化して来ました。この概念の変化とともに「医の倫理」という言葉から「医療倫理」という言葉を使うようになり、医療を取り巻く種々の倫理問題を包括するようになったのです。「医療倫理」の中には治験や臨床研究のような「研究倫理」の問題と、不治の病の患者さんの延命処置をどうするか?などの臨床現場の対応などの「臨床倫理」の問題があり、境界がはっきり分かれてきました。

当院での取り組み

 当院では、平成27年度から、治験や臨床研究等の審査は臨床研究センターにて行うこととなりました。それにより、倫理審査委員会は医療倫理問題全般を扱うようになりました。また、倫理審査委員会の下部組織として臨床倫理小委員会が発足しました。倫理審査委員会の目的は下記のように倫理審査委員会規定に定められています。目的: 「東京都済生会中央病院で行われる医療行為が、世界医師会「ヘルシンキ宣言」(2013年)、「医の倫理マニュアル」(2005年)、日本医師会「医の倫理綱領」(2000年)、および当院「医師勤務手引き」(2010年)等の倫理規範に即して適切に実施され、患者の人権および生命の尊厳の擁護に寄与することを目的に、当院に倫理審査委員会を置く」
 実際には、臨床現場で日々起こっているような倫理問題。例えば、身寄りのない患者さんの治療方針をどのように決定するか?その決定方法は社会通念や倫理規範に即しているか?など、種々の懸案事項を検討し、その方針を支持し得るかどうかを外部委員を含む倫理審査委員会で検討・決定していくことができます。その他にも、新しい手術方法を検討し実際に試用するかどうか?保険適用外の治療をやるか?等々、種々の倫理的問題があり得ると思われます。それらの問題を職員個人に任せることなく、病院として検討をして行くために、倫理審査委員会に申請を上げてもらい委員会で検討しています。緊急性がある場合は、臨床倫理小委員会から委員を派遣して、臨床倫理コンサルテーションチームを病棟のメンバー(患者・家族を含む場合もある)とともに結成します。臨床倫理コンサルテーションのカンファレンスで院内の多職種のメンバーと今後の対応を検討し、その後、臨床倫理小委員会、倫理審査委員会での検討を経て、病院長に討議内容を報告する体制になっています。詳しくは委員会の規程等をご参照ください。

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